「マルチ商法」や「ねずみ講」は違法?合法?違法な勧誘をされた時の対処法を解説




これすごくいいからぜひ使ってみてー!
絶対後悔しないから一緒にやろうよ!
成人すると、マルチ商法の勧誘をされるようになります。

そして、マルチ商法の勧誘をされた話を誰かにすると「それって違法じゃない?」
と聞かれるのが、世の常です。

さらに最近はマルチ商法の会社の取引停止処分が増えています。

マルチ商法は本当に違法なものなのでしょうか?
本記事では以下のことを解説します。

・マルチ商法は違法なのか
・どのような行為が違法行為になるのか
・違法行為を行なった場合はどうなるのか
・マルチ商法の違法勧誘を受けた場合の相談先

正しい知識を身につけて違法なビジネスから身を守れるようにしておきましょう。

「マルチ商法」は違法ではないが「ねずみ講」は違法である

結論から伝えるとマルチ商法は違法行為ではありません
しかし、ねずみ講は完全なる違法行為です。

下記にマルチ商法とねずみ講の違いをまとめました。

マルチ商法 ねずみ講
商品 存在する 存在しない
会社 存在する 存在しない
違法性 違法ではない 違法である

下記でさらに詳しい内容を説明します。

マルチ商法の違法ではない根拠とその仕組み

マルチ商法は別名ではMLM(マルチレベルマーケティング)や、ネットワークビジネスとも呼ばれるます。

正式名称は「連鎖販売取引」といいます。

そして、特定商取引法33条で「連鎖販売取引法」が道義されています。

したがって「連鎖販売取引」としてしっかりと法令の中で規則が定められており(禁止事項は多い)、規則に則ってビジネス活動を行うことは認められているのです。

ですからマルチ商法は違法ではなく、法令で定められたれっきとしたサービスの販売手法ということです。

マルチ商法の仕組みとは

マルチ商法は会員が勧誘を行い、別の会員を増やすことで利益を得るビジネスです。

商品の流通を目的とし、紹介した会員が購入した商品代金の一部が自分の利益となります。

加えて、自身が勧誘した会員が別の会員を増やして、その別の会員が商品を購入した場合も、利益をえられます。
継続して購入していただいている限り利益は定期的に得られ、界隈ではその利益が権利収入になるといわれます。

ねずみ講の違法な根拠とその仕組み

対してねずみ講は「無限連鎖講」と道義されています。

「無限連鎖講」は昭和五十三年法律第百一号、「無限連鎖講の防止に関する法律」を参照することで違法であると確認することができます。

無限連鎖講にの防止に関する法律 第三条

何人も、無限連鎖講を開設し、若しくは運営し、無限連鎖講に加入し、若しくは加入することを勧誘し、又はこれらの行為を助長する行為をしてはならない。

ねずみ講の仕組みとは

ねずみ講の仕組みは、マルチ商法とほぼ同じです。

会員が会員を勧誘し利益を得るのです。

しかし目的が商品ではなく金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む)であること。
実態は金品の配当組織である点において、マルチ商法との大きな違いです。

マルチ商法の勧誘が違法になる場合を例を用いて説明


マルチ商法は合法です。
しかし、マルチ商法には特定商取引法により、複数の禁止事項が定められており、それに反すると違法行為となります。
主に勧誘員が優位になる話の伝え方が禁じられています。

たとえば、下記のような場合が違法行為にあたります。

・勧誘前や勧誘時に、社名や指名、目的を伝えなかった
・家やカラオケボックスで勧誘した
・重要事項を勧誘の際に伝えなかった
・「絶対に儲かる」など誇大広告をした
・契約するまで帰らせなかった
・断った後もしつこく勧誘した
・クーリングオフ制度を伝えなかった

下記で詳しく解説します。

勧誘前や勧誘時に、社名や目的を伝えなかった

マルチ商法の勧誘は事前に、「マルチ商法の勧誘が目的であること」また「勧誘する会社名」を伝える必要があります。

例えば、ビジネスセミナーだと思って参加したらマルチ商法の勧誘であった。

というケースはありがちですが、違法行為にあたります。

また、事前に社名や目的を伝えるだけではなく、勧誘当日も伝えなければなりません
当然、話をする人が初対面になる場合は名乗る義務もあります。

指名の明示(特定商取引法第33条の2)

連鎖販売取引をしようとするときは、勧誘に先立って、消費者に対して、次のような事項を告げなければなりません。

・統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者の氏名(名称)(勧誘者、一般連鎖販売業者にあっては統括者の氏名(名称)を含む)
・特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨
・その勧誘に係る商品又は役務の種類

引用元:特定商取引法ガイド「連鎖販売取引

家やカラオケボックスで勧誘した

ホームパーティーを会員の家で行い、そのまま勧誘した。
カラオケボックスを借りて勧誘をした。

など、公衆が出入りしない場所での勧誘は禁止されています。

カフェやファミリーレストランでの勧誘は問題ありません。

禁止行為(特定商取引法第34条)

勧誘目的を告げない誘引方法(いわゆるキャッチセールスやアポイントメントセールスと同様の方法)によって誘った消費者に対して、公衆の出入りする場所以外の場所で、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘を行うこと。

引用元:特定商取引法ガイド「連鎖販売取引

重要事項を勧誘の際に伝えなかった

勧誘の際にマルチ商法であることを伝えなかった。

など意図的に内容を告げない、違うことを伝えることは違法行為です。
いくら会員獲得をしたいからと、事実を隠して勧誘するのは勧誘される側からしたら非常に卑怯な行為ですよね。

禁止行為(特定商取引法第34条)

契約の締結について勧誘を行う際、又は契約の解除を妨げるために、商品の品質・性能、特定利益、特定負担、契約解除の条件、そのほかの重要事項等について事実を告げないこと、あるいは事実と違うことを告げること。

引用元:特定商取引法ガイド「連鎖販売取引

「絶対に儲かる」など誇大広告をした

例えば、扱っているサプリメントに、公開できるエビデンスがないにもかかわらず、特定の疾病が「治る」と伝え購入を促した。

ぜったいに儲かるから一緒にやろうよ!
と勧誘した。

これは誇大広告に該当します。

事象を誇大して話す
これもまた非常に迷惑な行為です。

誇大広告等の禁止(法第36条)

特定商取引法は、誇大広告や著しく事実と相違する内容の広告による消費者トラブルを未然に防止するため、表示事項などについて、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。

引用元:特定商取引法ガイド「連鎖販売取引

契約するまで帰らせなかった

例えば、帰りたい意志を示した人間を帰らせずに契約を促し続けた。

などは禁止行為に該当します。
これはビジネス以前に人としてのモラルとしてダメですよね。

禁止行為(特定商取引法第34条)

契約を締結させ、又は契約の解除を妨げるために、相手方を威迫して困惑させること。

引用元:特定商取引法ガイド「連鎖販売取引

断った後もしつこく勧誘した

勧誘を断った方に対して再勧誘するのは禁止されています。

なんども勧誘されたらしつこい!
と親しい友達でもいやになりますよね。

契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止 特定商取引法第十七条

販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。

引用元:e-GOV 法令検索「特定商取引に関する法律

クーリングオフ制度を伝えなかった

マルチ商法は契約時に必ず、クーリングオフ制度が設けられています。
これを伝えないことは違法にあたります。

マルチ商法では通常のクーリング・オフよりも多めの20日間という期間がクーリング・オフ可能な日数として決められています。
クーリング・オフ制度を設ける趣旨としては、加入する側が冷静になった時に判断を見直すことができるようにという趣旨と思われます。

契約の解除(クーリング・オフ制度)(法第40条)

連鎖販売取引の際、消費者(無店舗個人)が契約を締結した場合でも、法律で決められた書面を受け取った日(商品の引渡しの方が後である場合には、その日)から数えて20日以内であれば、消費者は連鎖販売業を行う者に対して、書面又は電磁的記録により契約の解除(クーリング・オフ)をすることができます。

引用元:特定商取引法ガイド「連鎖販売取引

マルチ商法で違法行為をした人や会社には行政処分や罰則が与えられる


マルチ商法で違反行為をした人や会社にはどのような扱いを受けるのかきになりますよね。

当然ながら違反行為をした会社や人にはペナルティが用意されています。
具体的には下記の通り。

特定商取引法第38条、第39条および第70条によると、行政規制に違反した者は、業務改善の指示や取引等停止命令、役員等の業務禁止命令等の行政処分の対象になります。

さらに、違反行為をした者は3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金に処されます。
またはこれを併科
されます。

誰しも罰則は受けたくないですよね。

しかし管理が行き届かない、法令の理解が甘かったばかりに、このような罰則を与えられるマルチ商法の会社は後を絶ちません。

マルチ商法で違法な勧誘を受けた時の相談先

マルチ商法の違法な勧誘を受けたらどこに相談したらいいの?

もし、違法な勧誘をされて困っているのであれば最寄りの消費生活相談窓口または弁護士に相談をしてみるのがいいでしょう。

最寄りの消費生活相談窓口

一番オススメなのは最寄りの生活相談窓口への相談です。

連絡先がわからない場合は消費者ホットライン188に連絡をしましょう。
音声にしたがって郵便番号などを入れていただくことで、最寄りの生活相談窓口につながります。

弁護士

法律の専門家「弁護士」へ相談するのもいいでしょう。

しかし、相談は有料になる可能性があります。
ですから、無料相談ができる可能性がある法テラスから連絡してみるのがオススメです。

まとめ

いかがでしたか?
本記事では下記内容を解説しました。

・マルチ商法は違法ではない
・違法ではないがマルチ商法にはたくさんの禁止事項がある
・違法行為には重い罰則がある
・マルチ商法で違法な勧誘を受けた場合の相談先

違法な勧誘を受けた場合は一人で抱え込まず相談窓口に連絡してみるのがいいでしょう。

またマルチ商法をこれから取り組まれることを検討される方も、知らなかったじゃ済まない業界。
本来、資格を設けるべきであるともいえるビジネスです。

マルチ商法は軽い気持ちで簡単にできるものではないと認識しておきましょう。

健全なビジネス活動のために、まず勉強をすることからはじめてるのはいかがでしょうか。